6時間目-バックラン-って?水彩の技法と塗り方

 

サラ】バック ランを日本語にすると?

フク】またその質問? えっとね・・・バックは”後ろ”。ランは”走る”。

サラ】はい。大正解!”後ろに走る”・・・逆に向かって流れるってことで”逆流”って意味なの。
水彩の技法で言うバック ラン、水の逆流を利用して模様を作り出すこと。

このバック ランについていえば意図的な技法というよりも、水の乾き具合によって自然に出来る場合が多くて、にじみとか言われてしまうこともあるのよ。
でも絵の表現でいうと水彩らしい効果的なアクセントにもなりうるの。その形がお野菜のカリフラワーに似ているところからカリフラワーと呼ぶ人もいるのよ。

下の絵の赤い葉っぱ黄色い模様バック ランで描いたのよ。
落ち葉の水彩イラスト完成

さて、今回も始めましょう。
以下を参考にみなさんも試してみませんか?

【バック ランの手順とコツ】

1)バック ランを適用するための葉っぱを描く

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,グラデーションの手順-6

グラデーションをした葉っぱがきれいに乾いたことを確認し、その上に、赤色の葉っぱをウォッシュで描きます。

 

2)乾いてくるのを待つ

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,グラデーションの手順-7

塗った色が乾いてくるのを待ちます。

 

3)半分ほど乾いた状態なったことを確認する

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,バックランの手順-1

5分~8分位(塗った色の厚みや、部屋の温度によります)すると塗った絵の具が乾いてきます。
バック ランのコツは、絵の具が半分ほど、乾いた状態になるまで待つことです。

 

4)筆に色を含んで葉っぱの上に差すように置く

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,バックランの手順-2

半分乾いた状態(表面が湿っている状態)になったら、筆にたっぷりの水で溶いた色(ここでは黄色)を含み、葉っぱの上に、軽く、ちょん♪・・という感じで置きます。

 

5)カリフラワーのような模様ができはじめる

手を加えずにそのままにしておきましょう。差した色がカリフラワーのような模様をつくりだします。
※なぜこのような模様になるのでしょう?
それは、たっぷりの水を含んだ色は広がろうとするのに対し、土台となっている色は、半乾きの状態でそれを食い止めようとする力が働くからです。差した色を押し戻そうとする状態(逆流)となりこのような形があらわれます。バック ランと名付けられたこの技法の意味が分かる気がしますね。

 

6)水の妖精さんにおまかせする

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,バックランの手順-4

バック ランは意図的に操作するより、自然に任せた方が味わいのある形を作り出します。
“半乾きの度合” “差し色の水の量” “その時の気温や湿度”によって、カリフラワーの形が変化してきます。水の妖精さんにおまかせして乾くまで待ちましょう。

 

7)小筆で葉っぱの葉脈を濃い赤色で描く

キレイに乾いたことを確認して、葉っぱの表情を出すために小筆を使って葉脈を描き足しましょう。前回までは葉脈をリフト アウトで描きましたが、ここでは濃いめの赤色を小筆に含んでスッと線を引くように描いてみましょう。赤い葉っぱの方はリアルな描き方ではなく、色遊びの感覚を生かしてイラスト風に仕上げます。

 

8)彩(いろどり)を楽しむ

同じように、下にある2つの重なった葉っぱも透明感を出しながらグラデーションバック ランを使って描いてみましょう。グラデーションは前回解説した12色相環に沿って黄色や緑色、オレンジ色を使っても美しく仕上がります。

※注意点が一つ。水彩画、水彩イラスト全般での注意になります。
手が紙の表面に当たる部分には、紙やキッチンペーパーなどを敷いて保護しておきましょう。
汗や油(ハンドクリームなど)が水彩紙に付くと取れません。水彩は水ですから色をはじいて塗れなくなります。ここでは先に描いた右側の緑の葉っぱを保護するためにA4の紙を敷いています。

 

9)影をつけて仕上げる

水彩画,水彩イラストの技法と描き方,バックランの手順-7

前回と同じで、葉っぱの淵や茎の下に、透明感のある灰色で”影”を描いてみましょう。
灰色は、補色(反対色)を混ぜて作ってみてください。(赤色+緑色、黄色+紫色など)
補色で作ることで透明感のある灰色が作れます。
影をつけることで白いテーブルに置いてある葉っぱに見えてきます。
影を描くことは、光を描いていることにもなります。薄い影は柔らかな光を、濃い影なら強い光を感じさせます。影を描く位置によってどの方向から光が当たっているのかもわかります。見逃しがちな”影”ですが、最後にこの影をきちんと描くことで描いたモチーフ(対象物)が引き締まって見え存在感を増すことができます。

 

10)描いた水彩紙を冊子からはがして完成です!

落ち葉の水彩イラスト完成

前回の作品と同じように描いた水彩紙をブロック状になっている冊子からカッターナイフを使ってはがします。
水彩の冊子は水で紙がたわむことがないように、紙の周りが糊(のり)で固めてあります。

糊で固めていない部分が冊子の下の中央部分にあるので、そこにカッターナイフの刃を差し込み、すべらすようにしてはがしましょう。はがし終わったらまた一枚の水彩画の完成です。


サラ】2枚目の水彩画が完成! 水彩の技法の第6歩目。バック ラン!出来ましたか?

フク】できたけどー。水の妖精さんのごきげんが悪ったみたいで、こんな形になったらいいな・・・って、フクが思ってた形にはならなかったー。

サラ】うん。それでいいのよ!水彩で絵を描くってね。水の妖精さんとの”合作”なの。コラボレーションね!
初めから最後まで筆を使って意図的に描くこともできるけど、せっかくのコラボだもんおまかせする所があっていいのよ。ほかにもその時々で水の状態を利用したり、水の状態に合わせたり。
水の妖精さんと呼吸が合ってくるとダンスを踊っているように楽しくなるわよ。他の画材にはない水彩ならではの楽しさね

フク】わぁ。そうなったらいいな~。

サラ】さて、みなさんはいかがでしたか?

水の妖精さん、どんな模様をつくりましたか? 楽しい合作になってるといいな~って思ってます。(^.^)b

 


~2枚目の絵で学んだことのまとめ~

この2種類の葉っぱは、先に学んだ3つの基本技法に加えて、「ウェット オン ドライ」「グラデーション」「バック ラン」を使って描きました。
今回の技法をマスターすることで、水彩画、水彩イラストを描くときの表現力がぐんと増しますね。楽しみながら進めていきましょう。
この2種類の葉っぱも、道端で見つけた葉っぱや、公園で拾った落ち葉をモチーフにしています。
みなさんも目にしたことがあるかもしれませんね。


さて次は、アクティブでちょっとプロっぽいワザ。
スパッタリングの技法をご紹介します。
水彩の技法-スパッタリング(水彩画,水彩イラストの描き方,ぬり方