サラ】バック ランを日本語にすると?
フク】またその質問? えっとね・・・バックは後ろ。ランは走る。
サラ】はい。大正解!”後ろに走る”・・・逆に向かって流れるってことで逆流って意味なの。
水彩の技法で言うバックラン(Back Run)とは、水の逆流を利用して模様を作り出すこと。
こういった技法をマスターすると、PCで描くデジタルなイラストでは表現しきれない“味わいのある表現”ができるようになるわよ。
また水彩らしい効果的なアクセントにもなり得るの。その形がお野菜のカリフラワーに似ているところから、そのままカリフラワーと呼ぶ人もいるのよ。
ここでも前回に引き続き、技法を使いながら下の絵を完成させるまでの過程を解説していきます。
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さて、今回も始めましょう。
やり方は簡単!手順を参考にあなたも描いてみてね!
【 ページの目次 】
【お知らせ】動画で学ぶ水彩技法
YouTubeチャンネル「水彩セラピー 水彩時間 」を開設しました。
このページで紹介している水彩技法:バック ランのやり方を動画で学べます。
【バック ランの手順とコツ】
手順1)バック ランを適用するための葉っぱを描く
グラデーションをした葉っぱがきちんと乾いたことを確認し、その上に、赤色の葉っぱをウォッシュで描きます。
手順2)乾いてくるのを待つ
塗った色が乾いてくるのを待ちます。
手順3)半分ほど乾いた状態なったことを確認する
3分~5分位(塗った色の厚みや、部屋の温度によります)すると塗った絵の具が乾いてきます。
バック ランのコツは、絵の具が”半分ほど乾いた状態”になるまで待つことです。
手順4)筆に色を含んで葉っぱの上に差すように置く
半分乾いた状態(表面が湿っている状態)になったら、筆にたっぷりの水で溶いた色(ここでは黄色)を含み、葉っぱの上に、軽く、ちょん♪・・という感じで置きます。
手順5)カリフラワーのような模様ができはじめる
手を加えずにそのままにしておきましょう。差した色がカリフラワーのような模様を作り出します。
なぜこのような模様になるのでしょう?
それは、たっぷりの水を含んだ色は広がろうとするのに対し、土台となっている色は、半乾きの状態でそれを食い止めようとする力が働くからです。広がる色を押し戻そうとする状態(逆流)となり、このような形が現れます。
バック ランといわれる技法名に納得ですね。
手順6)水の妖精さんにおまかせする
バック ランは意図的に操作するより、自然に任せた方が味わいのある形を作り出します。
塗った色の厚みや、部屋の温度等によって、カリフラワーの形は変わります。
“水の妖精さん”におまかせして乾くまで待ちましょう。
手順7)小筆で葉っぱの葉脈を濃い赤色で描く
きちんと乾いたことを確認して、葉っぱの表情を出すために小筆を使って葉脈を描き足しましょう。前回までは葉脈をリフト アウトで描きましたが、ここでは濃いめの赤色を小筆に含んでスッと線を引くように描いてみましょう。
赤い葉っぱの方はリアルな描き方ではなく、色遊びの感覚でイラスト風に仕上げます。
手順8)彩(いろどり)を楽しむ
同じように、下にある2つの重なった葉っぱも透明感を出しながらグラデーションやバック ランを使って描いてみましょう。前回解説した12色相環に沿った色を使うと美しく仕上がります。
※注意点が一つ。水彩画、水彩イラスト全般での注意になります。
手が紙の表面に当たる部分には、紙やキッチンペーパーなどを敷いて保護しておきましょう。
汗や油(ハンドクリームなど)が水彩紙に付くと色がはじかれて塗れなくなります。ここでは先に色を塗り終わった右側を保護するために紙を敷いています。
手順9)影をつけて仕上げる
前回と同じで、葉っぱの淵や茎の下に、透明感のある灰色で影を描いてみましょう。
灰色は、補色(反対色)を混ぜて作ってみてください。(赤色+緑色、黄色+紫色など)
影をつけることで白いテーブルに置いてある葉っぱに見えてきます。
手順10)描いた水彩紙を冊子からはがして完成です!
前回の作品と同じように描いた水彩紙をブロック状になっている冊子からカッターナイフを使ってはがします。
水彩の冊子は水で紙がたわむことがないように、紙の周りが糊(のり)で固めてあります。
糊で固めていない部分が冊子の下の中央部分にあるので、そこにカッターナイフの刃を差し込み、すべらすようにしてはがしましょう。
はがし終わったら、また一枚の水彩画の完成です。
サラ】2枚目の水彩画が完成! 水彩の技法の6時間目。バック ラン!出来ましたか?
フク】できたけどー。水の妖精さんのごきげんが悪ったみたいで、こんな形になったらいいな・・・って、フクが思ってた形にはならなかったー。
サラ】うん。それでいいのよ!
水彩で絵を描くってね。水の妖精さんとの“合作”なの。コラボレーションね!
初めから最後まで筆を使って意図的に描くこともできるけど、せっかくのコラボだもん。
おまかせする所があっていいのよ。
ほかにもその時々で水の状態を利用したり、水の状態に合わせたり。
水の妖精さんと呼吸が合ってくるとダンスを踊っているように楽しくなるわよ。他の画材にはない水彩ならではの楽しさね。
フク】わぁ。そうなったらいいな~。
サラ】さて、あなたはいかがでしたか?
水の妖精さん、どんな模様をつくりましたか? 楽しい合作になってるといいな~って思ってます。
まとめ:2枚目の絵【7枚の葉っぱ】で習得した技法
先の1~3時間目までに学んだ3つの技法に加えて、今回新たに学んだ3つの技法を確認しておきましょう。
4時間目は、乾いた絵の具の上に色を重ねて塗るウェット オン ドライ。
5時間目は、色を段階的に変化させて塗るグラデーション。
6時間目は、水の逆流を利用して模様を作り出すバック ラン。
この緑色と赤色の葉っぱも、道端で見つけた葉っぱや、公園で拾った落ち葉をモチーフにしています。
あなたも目にしたことがあるかもしれませんね。
今回も「楽しんで描けたな!」とあなたの心が喜んでいるならこのスタンプを・・・
サラ】次は、3枚目の作品に進みます。
今まで学んだ技法に加え、さらに新しく3つの技法を使って作品を完成させます。
その初回となる7時間目は、アクティブでちょっとプロっぽい技法。
スパッタリングから始めます。