サラ】ドライ ブラシをにほん・・・
フク】わかった!! ドライは乾いている。ブラシはこの場合、筆のこと。
だから乾いた筆で塗ること!
サラ】ピンポン!大正解! フクちゃんの推理力にはどんな名探偵も脱帽ね!
でも念のために解説するわね。
水彩の技法で言うドライブラシ(Dry Brush)とは、絵の具のついた筆の水気を切って描くこと。
水彩といえば、水をたっぷりって伝えてきたけれど、あえて、筆の水気を切って描くことで、ガサガサとした質感を出すことが出来るのよ。
草や、樹の幹なんかによく使われる技法なの。
そうそう今回は平筆を使うから準備しておいてね。
フク】平筆? 平筆って使ったことなかった。どんな時に使っていいかわかんなくて、フクの絵の具箱のすみっこで眠ったまんまー。
サラ】じゃあ、今すぐ起こしてきて! 大活躍してもらいましょう!
ここでも前回に引き続き、技法を使いながら下の絵を完成させるまでの過程を解説していきます。
技法の知識と並行して塗りを実践したい方は、線画をダウンロードしてみてね!
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さて、今回も始めましょう。
手順を参考にあなたも描いてみてね!
【 ページの目次 】
【ドライ ブラシの手順とコツ】
手順1)マスキング紙を作る
ダウンロードした線画(ボールペンでトレースした後の紙)をそのままドライ ブラシのマスキング紙として利用します。
前回と同じようにドライ ブラシを適用する葉っぱ3枚を切り抜きます。
ここでは、①、④、⑤の葉っぱになります。
手順2)切り抜きはカッターを使う
前回と同じように、切り抜く時はカッター台を下に敷いて、葉っぱの形にそって、カッターを使って切り抜きましょう。
ドライ ブラシをするためのマスキング紙の出来上がりです。
手順3)切り抜いた位置の葉っぱに色を塗っておく
切り抜いた葉っぱと同じ位置に当たる水彩紙の方の3枚の葉っぱに、色を塗っておきましょう。
今まで学んだ6つの技法、ウォッシュ、ウェット イン ウェット、グラデーションなどを使って塗ってみましょう。
手順4)マスキング紙をかぶせる
手順1)で作っておいたマスキング紙を、水彩紙の上にかぶせます。
切り抜いた葉っぱのところは、色を塗っているので上の画のような見え方になります。
四辺をマスキングテープでズレないように止めておきましょう。
手順5)ドライ ブラシの準備
ドライ ブラシでは、筆のタッチを生かすために水を少なめにして絵の具を溶きます。
その絵の具を平筆に付け、水気をキッチンペーパーで取り除きます。
ここでは焦げ茶色を使っています。
絵の具の濃さ、水気の取り具合によってタッチが変わってくるので、
塗る前に、他の水彩紙で試し塗りをしておくと上手くいきます。
手順6)平筆を使ってドライ ブラシで塗る
切り抜いた葉っぱの中で、水気を切った筆を上下・左右に動かしていきます。
ここでは⑤の葉っぱに塗っています。
葉っぱの周りはマスキング紙でカバーしているのではみ出しても大丈夫!
水彩紙の紙肌は凹凸になっているので、凸の部分にだけ絵の具が付きます。
ガサガサとした枯葉っぽい質感を感じながら描いてみましょう。
手順7)他の葉っぱもドライ ブラシで塗る
①と④の葉っぱも同じように塗ってみましょう。
ここでは①の葉っぱを紫色で塗っています。
ドライブラシはすぐに乾くので、さらに違う色を上に重ねると色彩豊かな表現ができます。
手順8)マスキング紙をはずして完成です。
きちんと乾いたことを確認し、マスキング紙をはずして完成です。
葉脈をリフトアウトで描き足しておくと葉っぱらしい表情がでてきます。
参 考)ドライ ブラシで描く草の表現
上の画の草は、平筆をはねるようにしてドライ ブラシで描いたものです。
絵本に出てきそうな草の表現ができますね。
サラ】水彩の技法の8時間目。ドライ ブラシ!出来ましたか?
フク】出来ましたー。クレヨンで描くみたいに楽しい!平筆ってこんな使い方ができるんだね。
サラ】そうなの。丸筆、平筆、それぞれの個性を生かした活躍の場があるものよ。
人と同じようにね。
こういった塗り方も出来るようになっていると、さらに描きたいモチーフを表現する手段が広がるわよ!
フク】うん。ガサガサの枯葉以外でも、この前、海辺で拾った貝殻のゴツゴツした質感もこのドライ ブラシだと面白く描けそう。
そうだ、今回はドライ ブラシを使って色を重ねたけど、色の相性とかの注意点はないの?
サラ】あ、いい質問ね。グラデーションの時に補色(反対色)の説明をしたでしょう?
『紫色』と『黄色』のグラデーションでは混じりあった所が『灰色』に濁るって話し・・・ドライ ブラシは色を混ぜる訳ではないから、紫色の上に黄色を塗っても大丈夫なの。
フク】やったー。ドライ ブラシだとフクの大好きな鮮やかな『黄色』と『紫色』がいっぱい使えるんだ!
『赤色』と『緑色』の組み合わせも試してみよう!
サラ】うん。でもね、補色関係の色をドライブラシで重ねると、ハレーションを起こす場合があるから注意してね。
フク】はれーしょん?
色彩の学び)ハレーションとは?
サラ】ハレーションとは、目がチカチカしてくる現象のことなの。
明度が近く、彩度が高い補色(反対色)を隣り合った位置に置くとそういう見え方をしてしまうのよ。
野外広告や交通標識を作っているデザイナーやエンジニアの人はちょっと意識している配色ね。
例えば、ホームページのロゴをこの配色で作ってみたの・・・
あら。ビビットカラーも悪くないわね。これからはこのロゴでいこうかしら・・・
フク】わーっ、やめてー。ずっと見ていると目が疲れそう。
サラ】でしょ。だから補色を使う時は少し注意が必要ね。
でも作者の意図によっては逆にそのチカチカを利用することもあるのよ。
フク】ふーん。じゃあ意図によって色も変えていくってことなんだ。
サラ】そういうこと! 絵を描く時、表現する時、意図ってとっても大事!
でも色についての知識はここまでにして、せっかく透明水彩で絵を描くなら、水と色の織りなす世界に浸りながら絵を完成させていきましょう。
今回学んだドライ ブラシ。あなたもいろんなモチーフや色で試してみてね!
さて次は、9つの基本技法の締めくくり。
塩を使った美しい模様の作り方をご紹介します。