『水彩時間』 始めます。~オープニングの物語~

気がつくと
私は
森に立っていた。

木漏れ日の森。
mori5

ちょっと懐かしいような感じ。
子供の頃に
よく遊びに出かけた森に似てる・・・

肌に感じる日差しが温かい。

風が耳元をかすめていく。

小鳥の声も聞える

花の香り?
甘くていいにおい・・・・・

甘い匂いに誘われて歩くこと数分。

白い2階建ての建物が見えてきた。

カフェ? 

水色のエプロンをしたクマがオーダーを取っている。

テラスでは、リスとウサギがコーヒーを飲んでる。

ふふ。変なの。森に迷い込んだアリスみたい。

ああ、あの甘いにおい。
今、クマが運んできた
ブルーベリーのホットケーキのにおいだったんだ。

奥にみえるのは花の絵?
ギャラリーも兼ねてるんだ。へぇ・・・

絵を見ながらのカフェタイム。
うん。ちょっといいかも。
寄って行こうかな・・・・

そんなことを考えてたら、

2階の窓から、
黄色い小鳥が飛んできて
肩に止まった。

インコ?
この小鳥、ホッペが赤いんだ。

なんて可愛い。

 

2階の窓を見上げると、

女の子が私を見てる。
どこかで会ったような
・・・そんな気がする。

「こんにちは」

「え、ああ、はい。こんにちは」
ぎこちない挨拶を返してしまった。

「2階に上がって来ませんか?」

「2階?」
今からカフェタイムにしようかと思ってたんだけど・・・

階段をのぼっていくと、

その子が笑顔で立っていた。
「お待ちしてました。絵を描いていきませんか?」

絵を描く?・・・
絵なんてずーっと描いてないし・・・
それに待たせてないよね・・・

「あのころのように・・・・・・」

あのころ?
ああそうか、この子。
あのころの私だ。

窓から風が吹きこんできた。
心地よい風・・・・・



水彩時間。

始めます。