サラ】さて、ウォッシュして、ウェット イン ウェットまで完了!
この流れでいうと、次はリフト アウトね!
フク】リフト アウト? えっと、日本語に訳すと
・・・わかんない!鳥さんの英語力ではムリ!
サラ】リフトは、持ち上げる。アウトは、取り除くという意味があるのよ。
水彩の技法で言うリフトアウト(Lift Out)とは、塗った絵の具を浮かび上がらせ、取り除くこと。
ウェット イン ウェットでは、水の妖精さんにおまかせ!・・・って感じで、水の性質を利用する技法だったけど、リフト アウトは意図的な技法になるのよ!
水彩で描いていると、「あっちゃー塗りすぎちゃった!」とか、
「イメージした色合いじゃなかった!」「右に置いた色が、左に流れていっちゃった!」とかよくあるでしょ?
それを補う技法が、このリフト アウト!
ここでは、前回のウェット イン ウェットで、色を塗りすぎてしまって、それを取り除く場合も含め、覚えておきたいリフト アウトの3つの技を紹介していきます!
前回に引き続き、技法を使いながら下の絵を完成させるまでの過程を解説していきます。
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やり方は簡単!手順を参考にあなたも描いてみてね!
【 ページの目次 】
【お知らせ】動画で学ぶ水彩技法
YouTubeチャンネル「水彩セラピー 水彩時間」を開設しました。
このページで紹介している水彩技法:リフト アウトのやり方を動画で学べます。
【リフト アウトの手順とコツ】
手順1)筆を使ってリフト アウト
塗りすぎてしまった箇所の色を筆を使ってぬぐい取ります。乾いてしまっている場合は筆にたっぷりの水をにつけ、軽くなでて色が浮かび上がってきた所をぬぐい取ります。
コツは軽いタッチで! 柔らかい筆を使うようにしましょう。
ここでは葉っぱの中心部分を少し白っぽく仕上げるために、その個所の色を筆を使ってリフト アウトしています。
手順2)ティッシュを使ってリフト アウト
ティッシュはとても吸収性に富んでいます。まだ濡れている状態であれば、色を取りたい箇所を軽くなでるだけで充分です。
強く押さえつけてしまうと、塗っていた色が、いっきに取れてしまうので注意が必要です。
色が取れてしまったら、また筆を使って塗り足しておきましょう。
手順3)きれいに乾かす時間をとる
3つめのリフト アウトに進む前に、乾かす時間をとりましょう。
リフト アウトでは、きちんと乾かした後に進む・・・というやり方もあります。
小鳥のフクちゃんの休憩の取り方は先の通り。
あなたも休憩を取りながら進んでくださいね。ここでは少しの休憩の後ドライヤーで乾かして進みます。
*★* 水彩画のように美しい花ケーキで癒しのひととき *★*:
手順4)小筆とティッシュを使ってリフト アウト1
水を含ませた筆を使って、色を取ることで描くというリフト アウトをやってみましょう。
色を取るというのも描き方の一つです。
ここでは、葉っぱの色がきちんと乾いていることが前提です。葉っぱの葉脈を水を含んだ小筆で描いていきます。コツはコシのある先の細い筆を使うこと!
柔らかい筆では線がはみ出し描きづらいです。
手順5)小筆とティッシュを使ってリフト アウト2
水を含んだ筆で描いたら、すぐにティッシュで押さえます。
そうすることでキレイに色を取ることが出来ます。
コツは、一度乾いた色が、水で浮かび上がっているうちに、上から押さえてふき取ること。
ここでは、葉っぱの葉脈を一本一本ていねいに描きながら、そのたびにティッシュで押さえています。筆を持つ手と逆の手にティッシュを持って進めましょう。
左側の小さい方の葉っぱにもリフト アウトで葉脈を描いておきましょう。
手順6)影をつけて仕上げる
葉っぱの淵や茎の下に透明感のある灰色で影を描いてみましょう。灰色は、補色(反対色)を混ぜて作ってみてください。(赤色+緑色、黄色+紫色など)
そうすることで透明感のある灰色が作れます。影をつけることで、白いテーブルに置いてある葉っぱに見えてきます。
※補色に関しては5時間目で詳しく学びます。
影を描くことは、光を描いていることにもなります。薄い影は柔らかな光を、濃い影なら強い光を感じさせます。
影を描く位置によって、どの方向から光が当たっているのかもわかります。
見逃しがちな影ですが、最後にこの影をきちんと描くことで描いたモチーフ(対象物)が引き締まって見え、存在感を増すことができます。
手順7)描いた水彩紙を冊子からはがす
描いた水彩紙を、ブロック状になっている冊子からカッターナイフを使ってはがします。
水彩の冊子は、水で紙がたわむことがないように、紙の周りが糊(のり)で固めてあります。
ただし、糊で固めていない部分が冊子の下の中央部分にあります。そこにカッターナイフの刃を差し込み、すべらすようにしてはがしましょう。
カッターの刃は長めに出しておくと差し込みやすくなりますよ。絵を完成させるたびに一枚ずつはがしとる形で使います。
手順8)1枚目の絵の完成です!
ここで1枚目の絵の完成です。
サラ】水彩の技法の3時間目。!リフト アウト出来ましたか?
フク】今回もとても上手に出来ました! 水彩って楽しめる絵の具なんだってわかった!
サラ】よかった!でも上手に描くことを目標にするより、まずは楽しむことを目標にしてね!
いろんな技法を紹介してるけど、水彩の技法ってね、自分で編み出してもいいのよ!楽しんでるとアイデアが浮かぶから、それを試しているうちに自分の描き方や表現が見つかって、さらに楽しくオリジナルな絵になっていくわよ!
フク】なるほどー。楽しく絵を描く感覚って忘れがち。でも人が描いた絵を見ていると、それを描いた人の気持ちが伝わってくるから大切だよね。
サラ】今回のリフト アウトでは、ティッシュでの使い方を紹介したけど、布やガーゼでも試してみたり、半乾きの状態の時に、アルミホイルやラップを当てて、水彩では乏しいとされているマチエール(材質を利用しての凹凸等の特殊効果)を表現したりするのも楽しいわよ!
例えば、サラの作品を例にとると
下の水彩画は「ミモザのリース」と「アゲハ蝶」をモチーフにして描いた絵なの。
茶色で染めた影の部分のぼんやりとしたミモザ。これはあるものを使って、リフト アウトしています。何を使って描いたものでしょう?あなたも予想してみてね!!
フク】うーん。ミモザの花のポンポンした形だから・・・わかんなーい!!
サラ】答えは、・・・・綿棒です!! 綿棒は耳を掃除するものだけどリフト アウトする道具にも使えるのよ。
フク】なるほど! リフト アウトって感覚がわかった!
サラ】さて、あなただったら、どんな物を使ってリフトアウトしますか?
「これを使ったら効果的な表現になるかも?」と、ひらめいたらぜひ試してみてね!
あなたらしい創作作品の要素の1つになるかもしれませんよ。
まとめ:1枚目の絵【2枚の葉っぱ】で習得した技法
今までの技法を確認してみましょう。
1時間目はたっぷりの水を使って描くウォッシュ。
2時間目はぬれた状態の上に絵の具を塗っていくウェット イン ウェット。
3時間目は塗りすぎた絵の具をとったり、絵の具を取り除くことで描くリフト アウト。
この3つの技法をマスターするだけでも水彩らしいタッチの絵が描けますね。
ちなみにこの2枚の葉っぱは、直径は20~40センチで天狗の団扇(てんぐのうちわ)という別名をもつヤツデの葉をモチーフにしています。濃い緑の大きな葉っぱです。あなたも目にしたことがあるかもしれませんね。
あ、そうそう。
今回の絵を「楽しんで描けたな!」とあなたの心が喜んでいるならこのスタンプを・・・
サラ】次は、2枚目の作品に進みます。
今回学んだ3つの技法に加え、さらに新しく3つの技法を使って作品を完成させます。
まずは、水彩の技法の中でもオーソドックスな技法、ウェット オン ドライをご紹介します。